修羅場と言うかなんというかなんだけど。大昔、まだ痴漢に対して世間が緩かった時代、結構痴漢に遭ってた。そのせいか何だかよくわからないチカンも沢山いた・・
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修羅場と言うかなんというかなんだけど
大昔、まだ痴漢に対して世間が緩かった時代、結構痴漢に遭ってた。
そのせいか何だかよくわからないチカンも沢山いた。その中からバカっぽいのを…
総武線に乗ってた真昼間、亀戸に向かってたんだけど、ガラガラのお昼の電車に、それは目を引く男がやってきた。
身長は160そこそこ、半端なリーゼント、白いダブルボタンのスーツに真っ黒なシャツ、エリはスーツから出されており、鋭角にとがってその先にキラキラの襟アクセサリー、さらに巨大なシャネルロゴが左右についたとんがりツッパリサングラス、いくら昔とはいえもうバブルははじけて跡形もない時代、流行外れも甚だしかった。
もうここで社内の空気が音のないざわざわで満たされる。
視ない振りして皆見てる!
この男、私の隣にドカッと座った。
足を開き投げ出し、腕を組んで深々ともたれかかる。
私と言えば中途半端な全身グラマータイプで(100キロはないからデブ専からも普通人からもスルー対象) 男性からはおおむねスルーされるという大変気楽な生活を送っていた。当然おしゃれもしてない。
何気に本を読んでいて最初は気づかなかったが、胸の横が何度ももぞもぞするのでふと見ると、そこには指があった。
は?とみると隣の白スーツは腕を組んで下に回って正面から見えない指先を伸ばしてオームの触角のように人の胸の横を緒こょこょこっと触ってきていた。
思わず奴の全身を見直し、もう一度指を見るとちょこちょこ、たいして実害の無い胸の横でもあり「えーっと」と思いつつ奴の足先を見ると、きらっきらの白のエナメルの先とんがりメッシュキラキラ偽ダイヤ付きの靴が見えた。
バブル期のやくざの格好だよなあと思う昼下がり、とりあえず咳ばらいを一つしてみると、指が引っ込んだ。
奴の顔は緊張の面持ちで正面を見つめる。
足さすぼまりいつの間にかキュッと閉じられ背中も丸まっている。
そのまま次の駅まで固まったまあ座り続け、駅到着と同時に「ごみんなちゃい」と言いつつダッシュで逃げて行った。
あれはどっかの大学の罰ゲームだったのかといまだに悩んでいる。
服装+おばさんに痴漢して来いって奴なのかなあ?