毎日とりとめもない話をしていてもそれが習慣になると、何かの拍子にそれが無くなると、とても不安になるらしい >> そこの幸せがあるのさ。
引用元: ・http://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/tomorrow/1452950510/
こちらもおっさんの話
アフガニスタンからソ連軍が撤退を開始したころ。
当時の勤務していた会社の取引先は、テナント雑居ビルの3階にあった。
そのビルの1階は洋菓子屋だったが喫茶室も併設していたので、
取引先は来客があるとそこからコーヒーなどの出前を取っていた。
俺は取引先には週に3~4回訪問していたので、
週に最低1回はコーヒーをご馳走になっていた。
出前に来る女性はだいたい決まっていたので、自然と顔見知りになっていた。
出前にコーヒーにはサービスでいつも小さいカップケーキが付いていたが、
甘いものが苦手な俺はいつもそのケーキを残していた。
ある日のこと。
取引先に行く際に出前の女性と同じエレベーターに乗り合わせたのだが、
軽い会釈の後にその女性がこう言った。
『ケーキはお嫌いですか?』
「あ、すんません。甘いものはちょっと苦手で・・・」
ちょっと気まずい雰囲気だったがすぐに3階に到着したので、
俺は逃げるようにしてエレベーターを降りた。
しかし、取引先はいつも通り俺にコーヒーの出前を注文してくれたので、
数十分後にまた先ほどの女性と顔を合わせることになった。
いつも無表情でコーヒーを運んでくるその女性は、
そのときは珍しく笑顔だった。
『今日のケーキは私が焼いたんですよ』
「あ、そうですか。では今日は残さずに頂きます」
取引先の担当者(年配の女性)は
なぜか俺をニヤニヤしながら眺めている。
『どうですか?お口に合いませんか?』
「い、いや、甘ったるくなくて美味しいです」
少し不安そうだった女性は満面の笑みに変わった。
女性が帰った後、担当者は俺に質問をした。
「どう、あの娘?」
へっ?
「さっきの娘よ。一度デートしてみない?」
あ、はぁ、まぁ、いいですケド
「じゃ、決まりね。今度の週末は空いてるかしら?」
そんな感じで初デートを迎えることになった。
>>32
kwskされても、特に面白くも何ともありませんがね。
初デートはお互いの職場に近いレストランバーだった。
嫁は洋菓子作りが趣味で洋菓子屋に就職したのだが、
俺は高校生のころに飲食のバイトをしていたので、
料理に関する話題からわりと打ち解けて話せるようになった。
取引先の担当者は洋菓子屋の店長と仲が良かったそうで、
田舎から出てきた女子社員に変な虫がつく前に
真面目な男をあてがうように頼まれてたそうだ。
俺は別に真面目な優等生的な人間ではなかったが、
仕事(だけ)は日ごろから真面目に取り組んでいたので、
取引先担当者の眼鏡にかなったらしい。
それから、嫁はちょうどこのころに一人暮らしをばっかりだったので、
ひとりで食べる夕食の寂しさなどの愚痴を言っていた。
女性から「寂しい」なんて言われたら、
そりゃ何とかするのが「漢」ってなもんで、
それからは毎晩電話でその日の出来事を訊いたり、
週に最低2回は夕食を共にした。
不思議なもんで、
毎日とりとめもない話をしていてもそれが習慣になると、
何かの拍子にそれが無くなると、とても不安になるらしい。
嫁がある理由で実家に数日帰ったのだが、
その間は例えようのない気持ちだったそうだ。
嫁が実家から戻ってくるなりそんな気持ちを訊かされたので、
俺も同様だった旨を伝え、そして勇気を出して告白した。
それから約半年くらい経った頃。
2人で初めて入った和食屋で珍しい料理が出た時に、
俺が一口食べてその材料名を当てたことがあった。
カウンターにいた板前さんが感心し、こちらに向かって
「もしかしてコックさんですか?」と訊いたのだが、
何を聞き違えたのか嫁が真っ赤な顔になってしまった。
不思議に思った俺が嫁に「どうしたの?」と訊くと
『だってぇ、奥さんですか?って言うからぁ』と。
俯いて恥ずかしそうに、でもとても嬉しそうにしている姿を見て、
「じゃ、本当に奥さんになってくれるか?」と訊いてみた。
すると『もう!』と言って、
もっと真っ赤な顔になってしまった。
次の日、ちゃんと酒の酔いが抜けてから前の晩のことをもう一度訊いてみた。
嫁はやはり真っ赤になったが、
返事は『喜んで!』と帰ってきた。