目が真っ赤、頬も真っ赤にして泣いている。悲しいからなのか寒さで震えているのにその場から動こうとしない。なんか放って置けずにそばまで行ってマフラーを貸してやった・・
“あなたと寄り添った季節大きすぎて小さくなる
忘れられない景色パノラマ冬の星座たち
夜空で一番光るオリオンのようにこれから
心の中のあなた照らしてゆく永遠に”
嫁とよく聞いていた歌のフレーズ
嫁との出会いは高校の時の帰り道
1月末に行事で遅くなり白い息を吐きながら
田舎道を歩いていた
すこし丘にかかったところで鳴き声が聞こえる
上まで上がっていくとペットらしき墓の前で嫁が泣いていた
(当時嫁は中学3年生)
目が真っ赤、頬も真っ赤にして泣いている
悲しいからなのか寒さで震えているのにその場から動こうとしない
なんか放って置けずにそばまで行ってマフラーを貸してやった
それでも震えているのでコートを背にかけてやった
俺は1キロ先のコンビニに走って行ってあったかい肉まんとコーヒー買って
嫁に渡し、俺はその場を去った
それから4年が過ぎる
俺は近所の工場で働いていた
新卒が入ってきた後輩の中に嫁はいた
俺は忘れてしまっていたが親睦会の時に嫁からお礼を言われ
マフラーとコートのお礼がしたかったが恥ずかしくてお礼に行けなかった
ある日俺を見かけてつけて行ったら今の会社に入っていくのを見て
進学をやめて自分も会社に就職を決めたらしい
親睦会が終わって嫁に実家に連れて行かれ
もし俺が暖を撮らせてくれなかったら
嫁は大変なことになっていたかもしれないと義両親からもお礼を言われた
その日からちょくちょく家に呼ばれるようになり
いつの間にか交際が始まった
実際には嫁実家で、義両親の前で、半ば強制的に言わされた
しかも「結婚を前提」の体に持って行かれ
嫁親戚も立ち会い盛大に盛り上がってしまった
してやられたと思いながらも、そんな嫁の笑顔が可愛くて
俺も満更ではなかった
時が過ぎ俺が40歳、嫁は36歳
子供も娘2人
家を購入し幸せに暮らしていた
その歳になっても嫁は俺にジャレてきて子供たちからは茶化されるのがウチの日課になっていた
しかし神は残酷だ。いつまでも幸せは続かなかった
ある日俺が残業中に娘から嫁が倒れたと電話
急いで病院に駆けつけた。医者が言うには嫁は乳癌
発見が遅く手術しても生存率が低いので覚悟をしてほしいと言われた
俺は医者に喰ってかかった。だけど事実は変え用のない
冷静取り戻し医者に謝罪して車の中で大声で泣いてしまった
30分ぐらいたって娘が心配して車まで来てくれた
娘「お父さん!諦めずにできるだけの事はしよう!
お母さんのためにこれからは涙を見せないで頑張ろう!」
娘に励まされて俺はヘタれだということに気がついた
手術後、嫁を励まし家事も娘と俺で分担し嫁を労った
嫁も元気になっていったが
1年後に検査したら再発していた。今度は肺に転移していた
医者はもう手術は意味がないと・・・・絶望的だった
日に日にやつれていく嫁を見て何度も涙が溢れそうになった
一番苦しいのは嫁だと自分に言い聞かせ堪えた
ある日嫁が「星の見える丘に行きたい」と言い出す
嫁が行きたいのは俺と出会った丘
嫁「あの日から嫁の幸せは始まっていたの」
俺は嫁を抱きしめた。堪えるつもりだった涙が止まらない
嫁も自分の終末を自覚しているようだった
嫁「私がいなくなってもちゃんと生きてね。娘たちをよろしくお願いします」
そして嫁の命の灯りは消えていった
あれから20年
娘たちも結婚して孫も出来た
小学生になる孫は嫁によく似ている
そう思うたびに嫁のことを思い出してしまう
“心の中のあなた照らしてゆく永遠に・・・
Cause i love you・・・”
今でも冬になると星空みてあの歌を思い出す
いつかまたどこかでお前と出会えたらいいな
ドラマチックなことは何もなかった
長文の馴れ初めを見ると
まあすごいと思うばかり
引用元: ・https://mao.5ch.net/test/read.cgi/tomorrow/1559924976/